2012年01月30日

木次乳業、ブラウンスイスの日登牧場へ


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湯乃上館から続いて、木次乳業へ行ってきた。
なぜ地方の一企業までわざわざ行くのか。
それは食のルーツ、風土に根付いた味、食べ物の本来あるべき姿、ある食べ物が一体どのような環境(姿勢)で作られているか。
こういった「食の本質」が我が人生のテーマだから。

さて、ここ木次乳業はパスチャライズ牛乳(パスツリゼーション)を日本で初めて商品化したことでも有名。また現在ではブラウンスイス種の放牧を自社の牧場で行う数少ない会社。
ブラウンスイス種以外の牛乳はここの牧場では育てていないそうだが、その牛乳も、ノンホモ(ホモジナイズ=乳脂肪の均質化)、パスチャライズ(いわゆる低温殺菌)にこだわっている。

さらに僕が感銘を受けたのはこの牛乳パックの広告欄に書いてある文章。
「お母さん方へ お母さん 赤ちゃんにはあなたの母乳を差し上げてください。母乳こそ赤ちゃんの最高の食べ物です。」
もとより木次乳業という企業の考え方には非常に関心があり、参考にする部分も多かったが、この広告欄の文章を見て完全に想いは固まりました。

ということで木次乳業にアポを取り、牧場の見学と工場見学等お願いをしました。

そして今回、木次乳業の創業者であり、前社長(現相談役)佐藤忠吉氏とお話をさせていただくことができました。(社長は別件でどうしても対応できないとのことで。)
通常社長や前社長が個人に対し直接話すということは無いそうですが、いろいろと熱意を語り、どうしてもお話したいということを伝えたら会ってくれることになりました。

創業者、佐藤忠吉氏は90歳を越えておられるにも関わらず、かなり精悍で眼光鋭い方でした。
さすが創業者という感じ。このご年齢ということもあり、超ガンコ親父です(いい意味です。)
実際まずはじめに、
「意味のない話をしに来たのであれば時間の無駄だ。ちゃんと考えがあって来たんだろうな?そうでなければとっとと荷物まとめて帰れ、若造。」という旨のことを言われましたしね(笑)こえーこえー。
まぁ大変討論のしがいがあるお方でした。
やはり食に関する知識が相当に豊富で、僕程度の知識では話についていくのがやっとでした。
しかし、僕も考えを持たずに来たわけではありませんし、自分の信念があります。
「最も懸念する添加物とは?」との問いに対してある物質を答えたことで、佐藤氏にある程度認めてもらえるきっかけが出来ました。
話が進むにつれ、佐藤氏の思うところと考え方が一致していたようで、「若いのに自分と同じ考え方のヤツがいるとは驚いた。お前は変わってるな(笑)」と言ってもらえました(笑)

佐藤氏もしきりに仰っていたが、「牛乳は人間の飲み物ではない」との考え方も僕と一致しております。
なぜ牛乳を売る会社の社長がそこまで言えるのか?と問うたが、「当たり前のことだから。」と即答された。はい、愚問でした。
ちなみに「栄養士が日本の食をダメにした。」との持論も僕と同じでした。

そして木次と言えばパスチャライズ。
このパスチャライズこそが、牛乳は人間の飲み物ではないと言うところから来ているようです。
佐藤氏は続けて「牛乳は人間の飲み物ではない。赤ちゃんには母乳を飲ませなければいけない。しかし、中には母乳が出ないお母さんもいる。そうであれば、牛の乳ではあるが、それをなるべく自然な形で飲ませてあげる。これがいいのではないかと思う。」と話してくれた。

とまぁ始めは怖かったが、最終的にはちゃんとお話しをしてもらえてよかったです。
どうやら氏は相当話好きのようで、気付けばかなり時間が過ぎていた。










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続いてこの木次乳業のブラウンスイス種を放牧によって育てている日登牧場も見学させていただきました。




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ウェルカムドリンク。




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ふむふむ。





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圧巻^^;







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このように山の斜面を使って放牧するようです。




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いやぁ、非常にいい体験が出来ました。
この牛乳、確かに価格は大手メーカーの牛乳の倍ほどします。
でもこれだけ真摯に考え、まじめに作られたおいしい牛乳がこの価格で果たして高いと言えるのでしょうか。
少なくとも僕は全くもってそう感じません。この品質のものがこの価格であれば至極適正だと思うし、むしろ大手に比べればよっぽど良心的であると言えましょう。
そもそも倍って言ってもたかが100円、200円の違いだし。
逆に高温殺菌で工業的に大量生産された大手メーカーの牛乳が、この木次牛乳をはじめとした真っ当な牛乳の半分もの価値があるようには到底思えません。
そして今回その企業の姿勢、社長や創業者の考え方まで窺い知ることができ、本当にいい経験になりました。
木次乳業の関係者の方々、お忙しいところ本当にありがとうございました。


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<2012年12月鳥取、島根旅行の記事一覧>
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木次乳業、ブラウンスイスの日登牧場へ
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印度亜

(木次乳業)
島根県雲南市木次町東日登228-2
0854-42-0445
posted by 1031 at 21:00| Comment(13) | TrackBack(0) | 郷土料理・一般食品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
をを。こちらも見学に(笑)

ここの牛乳はパス乳でもさっぱりとした草原っぽい味で結構好きです。
近くに売ってないのであんまり買わないけど。
家ではいつもパスかノンホモばかりなのに、
出先でUHT牛乳を出され、久しぶりに飲んだらその味の違いにビックリしましたわ。


情熱に対してちゃんと対応してくれる経営者がいるって嬉しいことですね。
経営方針が見えている商品って、安心して購入できます。

Posted by カイエ at 2012年01月30日 21:41
1031さんコンニチハ!
久しぶりにコメントさせて頂きます。

すばらしい体験ですね。
拝見してすごく感銘を受けました。

現代社会のあまりの忙しさのあまり、
今を生きる人間が忘れている、
本当に大切なコト、本当に大切なモノ、
そんな心の豊かさを
この記事から感じました。

利益追求社会がエスカレートして、
食品は外国からの輸入に頼り、
衣料品は買ってもすぐにボロボロ。

本当に価値のあるものや、
譲ってはいけない部分が、
国際社会での競争や、
安さを求める消費者心理によって、
すっかり忘れられて
いるような気がします。

良いものを本当に大切に扱って、
質素ながらも質の高いものを愛する、
そんな日本人気質は、
どこへ行ってしまったのかな。

とっても参考になりました。
ありがとうございました☆
Posted by fuyuto at 2012年01月30日 22:33
まさに木次牛乳を飲みながら読んでいたので、とても興味深いお話でした!
木次ファン歴は長く、先日本社に問い合わせ、近所の宅配業者を紹介して頂きました。
パックよりも宅配のビンの方がさらに美味しいです。
高いとか安いとか、たった100円くらいで大切なものを見失いたくないです。
心まで豊かになる牛乳だと思っています。
レポートありがとうございました(^_^)
Posted by 蘭丸 at 2012年01月30日 23:38
相変わらずの行動力。感嘆しますわいw
木次乳業さんはうちの業界の取り扱い商品としてもかなりの古株で、企業姿勢で買っていらっしゃるお客様はもちろんですが、「よくわかんないけどとにかく味がいい」という一見さんも含めて、やはりここは別格の存在ですね。
Posted by 主任です at 2012年01月31日 15:50
牛乳のお話もなるほどと感銘いたしましたが
ここの牛さん達はなんとも優雅で美しいお顔
をしているのでしょう。
癒されます、見入ってしまいました。
神戸に住んでいますがどこかで購入出来るのでしょうか?
Posted by くみょん at 2012年01月31日 20:37
木次レポ、待ってました(笑)

お世話になってます、ブラウンスイスちゃん♪

先日木次のバターをいただいたらすごく好みのお味で美味しかったです。

木次乳業さん、やはり素晴らしい会社ですね!
牛乳パックの広告はホント心を打たれました。
ただいま母乳育児真っ最中ですしね(笑)

それにしても前社長さんお話が詳しく聞きたいです。
また機会があったらおきかせくださいね〜。
Posted by のんたん at 2012年01月31日 23:25
カイエさんへ

はい!人生のテーマですからw
確かに売ってるところは少ないですね。
そういう意味では、愛知近郊に住む人間はこのあたりの牛乳を買えばそれでいいのかも。
そもそも僕は牛乳自体をあまり飲みませんが、やっぱり飲むならおいしいものを飲みたいです。
Posted by 1031 at 2012年02月02日 21:29
fuyutoさんへ

コメントありがとうございます。
利益を追求すること自体は悪いことではないのかもしれませんが、やっぱり食は我々にとって欠かすことのできないもの。
ちゃんと「本質」を理解するべきだと思います。
本当に良いもの、真っ当な物がもっと広まればいいのですが。
Posted by 1031 at 2012年02月02日 21:31
蘭丸さんへ

コメントありがとうございます。
蘭丸さん、木次ファンだったんですね。
ビンだと劣化が少なそうですね、おいしそう!
おっしゃるとおり、たった100円や200円のことで食の本質を見失うのは悲しいことだと思います。
そう言っていただけて良かったです。
これからもよろしくお願いします。
Posted by 1031 at 2012年02月02日 21:37
主任さんへ

気になる物は自分の目で確かめないと気がすみません!
木次さんは確かに別格な気はします。
「とにかく味がいい」こう思って買っているお客さんがいるって本当に僕も嬉しく思います。
Posted by 1031 at 2012年02月02日 21:40
くみょんさんへ

牧場のスタッフさんによると、ここの牛達はとても性格がおとなしいそうです。
さて、神戸で購入できる場所ですが、残念ながら僕にはわかりません。
でも、結構こだわってるスーパーとかでは取り扱いがあると思うのですが・・・。
Posted by 1031 at 2012年02月02日 21:42
のんたんさんへ

牛乳自体ほとんど飲まない僕でも、久し振りに木次の牛乳を飲んで、やっぱりうまいなと思いました。
はい、また僕も話したいことが山積みです!
ぜひよろしくお願いします。
Posted by 1031 at 2012年02月02日 21:46
初めまして。こちらの記事で
「木次乳業」のことを知り、ずっと飲んでみたかったのですが、三重在住ゆえ中々その機会がなく・・
最近近くで販売されるようになり、念願かなって嬉しい思いをしています。
この牛乳・・別物ですね。
けっこうブログを愛読していたので、今年一月以降、更新が無いのが気がかりですが
また、面白い記事を楽しみにしています。
Posted by とるこらいす at 2013年08月22日 23:56
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