2010年08月28日

アル・ケッチァーノ(Al che-cciano)



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秋田で飲んだくれた翌日、次に向かうは山形県の鶴岡市。
鶴岡と言えばもちろんあそこ、アル・ケッチァーノ。
僕がこのお店を始めて知ったのはたぶん5、6年ぐらい前だったと思うが、山形の食材を使ったイタリアンと言うことで非常に有名で、いつか行きたいとずっと思っていた。
今回東北の旅を計画するにあたって、このお店だけは外せないと思ってかなり前もって予約しておきました。





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こんなところにある。

ところで、庄内地方ってほとんど反則級なくらいうまいものが集まる土地ですよね。

米どころだから、米がうまいのはもちろん、山にも海にも近く、そのうえ庄内川をはじめ、近くにいくつもの川が存在する。
しかも寒暖の差が激しいため、果物や野菜は間違いなくうまくなる。

もちろん日本全国、その土地ごとでうまいものは存在します。でも米、野菜、果物、山菜、肉類、魚介類、川魚、どれをとっても最上級の材料が揃っているってのはやっぱり恵まれてると思う。この土地でイタリアンをやるってのは正解なのかもしれません。







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お昼のコースは3500円、5500円、8500円と主に3種類あるが、せっかく行くので一番上の8500円のコースをお願いした。

このコースでは他の2つのコースとは大きく異なる内容の料理が食べられる。
ホームページの紹介にもあるのだが、「お客様のニーズに合わせて食材を調達しに行きます。庄内のおいしい旬の食材を組み合わせたイタリアンです。ぜひ、旬の庄内を感じてください。」とのこと。
一応電話予約では「なるべく山形でしか食べられない食材をたくさん使って、クセの強いものを出してください」と伝えておきました。
そして、念のため他のコースと全く違う料理が出てくることも念を押して確認しておきました。







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櫛引の和なしのジュース
なんとなく惹かれて注文。
うまくない。
が、飲みながらしばし待つ。

しかし、何かサービスがバラバラなんですよね、ここ。
気分が悪くなるような感じではないのだが、すごく人数が多い割りに無駄な動きが多いというか。








さて、料理に参りましょう。









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1.庄内浜のコチのカッペリーニ
はい、いきなり撮り忘れです・・・・。
カッペリーニの上にこちの刺身が4枚ほど乗っている感じです。
こち自体は熟成された味わいと、力強い食感があり、おいしい。
でもカッペリーニに乗せる意味が分からないし、料理としては全く完成されていません。
カッペリーニもぬるい。
先行きが不安になる料理。






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2.遊佐の岩魚の燻製でサンドしたヒラメの四角いカルパッチョ ブドウと焼いた皮
岩魚とヒラメを交互に重ね、層にしたもの。
魚の質は良くおいしい。








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3.山北の岩ガキ 畑のモロヘイヤのケッカソース
あぁ・・・やっちゃったと言う感じの料理。非常に残念。
牡蠣自体はおいしいが、上にかかっている野菜(モロヘイヤ、トマト、セロリ)と全くマッチしてない。
これは少なくとも牡蠣の味を生かす調理法ではない。
野菜自体もおいしいと思うが、牡蠣は牡蠣だけで食べて、野菜は別に醤油でも垂らして食べるとうまいんじゃないかな。
例えうまいものとうまいものを混ぜても決して相乗効果でうまくなるとは限らないと思う。
うまい日本酒とうまいワインを混ぜて飲んでおいしいですか?

この段階で思ったが、これをうまいと思って出しているなら、どうやら僕にはこのお店は合わないかもしれません。








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4.60℃で炒めた玉ねぎと削りたてのチーズと挽きたての黒こしょう
シンプルなのはいいのだが、パルミジャーノもおろしてから再度加熱されているようで、パサ付いて香りも飛んじゃってる。
悪くはないけどうまくはない。






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5.長ネギのシェリービネガーマリネとクミン
まずくはないけど、うまくはない。
食べにくいし、ありがたがって食べるほどのものじゃない。
さっきの玉ねぎといい、原価かかってないね(笑)






6.三瀬の鮎と丸なすの田楽仕立て(写真撮り忘れ)
なすの上に焼いた稚鮎と揚げた山椒の葉が乗った感じです。

ここまでずっと方向性が分散していると言うか、ワケの分からない料理が続いたが、これはおいしかった。
なすと苦味のある鮎のはらわたの味がマッチ。
揚げた山椒の葉も意味ある存在。






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7.サマートリュフのリゾット
香りはやや乏しいが、ちゃんとおいしい。
特筆すべきことはありません。








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8.甘鯛の松笠焼きと夕顔ともずくのスープ
さっぱりしたスープにもずくと夕顔。スープにはフェンネル系の香り。
シンプルなうまさ。甘鯛もおいしい。
驚きはないけどちゃんとしてる感じ。








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9.ズワイガニとブロッコリーの紅花を練りこんだビゴリーニ
ブロッコリーもズワイガニも非常に中途半端な大きさで、パスタと絡まないし、かと言って食べ応えもない。
パスタは茹で過ぎなのか狙ったのかは知りませんが、柔らか過ぎ。
しかもこのパスタの味自体がおいしくない。
これは方向性もわからないし、全然おいしくない。






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10.アル・ケッチァーノ風 だし
だしはこの地方の郷土料理のこと。
「シンプルに塩だけで味付けしました!」とのことだが、全然うまくない。
これはオリーブオイルなどが欲しいし、野菜自体もそれほどうまいとは思えない。
「野菜の塩もみ」なんか食べにここまで来たんじゃねぇぞ・・・。








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自家製フォカッチャ
クソマズイ。
塩強すぎ。焼き過ぎてパサ付く。さらに口溶け悪い。
一口食べて終了。食べられないです。
これをうまいと思って出してるのなら相当問題。






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11.庄内牛のローストと紅茶のタンニンでのばした人参のピュレ
このコースのメインが牛肉って・・・・。
しかも他のコースを食べている人とかぶってるし。

肉自体の質は悪くないが、にんじんのピュレはただの摩り下ろしにんじんと言う感じで全然うまくないし、肉とも合わない。
意味不明な料理でした。

このメインでは他もあまり期待は出来ませんが、どうせならアラカルトメニューにあった、山羊とか猪とか鳩とか食べたかったな。





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12.イエローマジックシャーベット
オレンジと柿酢とパプリカを使ったシャーベット。
これはうまかった。
このコースの中で一番満足。





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13.もものコンポート
普通。






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コーヒーまずい。








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これは8500円払う価値のある料理ではありません。
パンとコーヒーを除いた13皿でどれ一つとして記憶に残るものは無かった。
うたい文句である「お客様のニーズに合わせて食材を調達〜」、これ一体何のつもりなのだろうか。

5500円以下のコースとは全く違うとのことでしたが、3品ほどはかぶっていましたし、さすがにメインがかぶるのははっきり言ってただの怠慢でしょう。
もしかしたら昔は良かったのかもしれませんが、シェフも東京へ行ったり雑誌の取材で忙しいのかお店にいないし。

放心状態でコーヒーを飲んでいるときにサービスの1人が、
「おなかはいっぱいになりましたか?」などと嬉しそうに聞いてきたのにはさすがに開いた口がふさがらなかった。

僕はおなかいっぱいになるためにこんな遠くまで来たわけじゃないんです。
方向性の定まらないワケの分からない料理で皿数だけ増やしておなかだけいっぱいにしたの?
ここでしか食べられない料理を食べに来たのに、この料理・・・このサービス・・・。
持てはやされているお店が、必ずしも味とは比例しないってことが良くわかりました。
素材を生かすという意味では山猫軒の方がどれだけ満足できることか。
想像できる味だとは言え、あっちはちゃんと方向性の定まったおいしい料理が食べられるし。







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重い足取りでバスに乗り込み、次の目的地へ向かうのでした・・・・。


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山形県鶴岡市下山添一里塚83
0235-78-7230
営業時間 11:45〜14:00 18:00〜21:00
月曜休
posted by 1031 at 15:50| Comment(18) | TrackBack(0) | イタリア料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しく拝見させて頂いております

これで8500円ですか・・・・・
ヒドイですね・・・・・・・・・・
Posted by くりくり at 2010年08月28日 18:37
出た!アルケッチァーノ!!!

玉ねぎとか、私が行ったとき(5月)と一緒なのもどうかと思うね。
しかも「なるべく山形でしか食べられない食材をたくさん使って、クセの強いものを出してください」と予約時に伝えた上でこの料理とは。。。
8,500円がもったいなかったって思っちゃうよね><
Posted by クレイジーめぐ at 2010年08月28日 21:44
はじめまして!
いつも参考にしてみています☆

アルケッチャーノ、評判良いのに残念でしたね。

ところで、お寿司のカテゴリですが、記事にないのは1031さんが気に入らなかった(記事にするまでもないような)お店ですか?
お店選びの参考にしたいので教えてください!
Posted by めめちゃん at 2010年08月28日 23:39
コストに見合った満足の行く料理に出会うのって本当に難しいですよね;;
こんな価格なのに、いいの?ってモノもあれば、
これだけ投資したのに…ってな場合とか、
これなら投資しても惜しくない!とか。
きっとシェフも気合いが入りすぎて、支離滅裂になってしまったのでしょう(笑)
意外と一番リーズナブルなコースが納得いく場合があるかもしれませんね^^
Posted by あいまま at 2010年08月28日 23:42
私の知り合いも三人行きましたが、良く言っているのは一人だけです。二人は素材は確かにいいものもありますが、調理がピントがあっていないと言っていました。わざわざ行ったことで、初めから美味しいはずと思ってしまうようです。つい先日も行ったことの友人をフラスカティに連れていったら、完成度がまるで違うと驚いていました。
1031さんの記事を読んでから、山猫軒に4度行っています。ちょっとメニューが変わらないのが残念です。しかし、ピントのあった調理で満足しています。あの雑然さはどうかと思います。
Posted by 杉さん at 2010年08月29日 01:01
1031さんこんにちは。

私の行きたい店ランクの上位だったのですが、かなり残念だったようですね。写真を見ても「なめてるよね」という感じが伝わります。個人的にはイタリアンに少量多皿はダメだと思います。テレビや雑誌での絶賛にはロケーションの幻想もあるのでしょうね。
青森の「オステリア エノテカ ダ・サスィーノ」とか仙台の「アルフィオーレ」とかもそうなのかなぁ。すべて情熱大陸に出てますけど。
Posted by グローブ at 2010年08月29日 12:53
くりくりさんへ

パッとしない料理ばかりで残念でした。
わざわざ行くほどの価値はありませんでした。
Posted by 1031 at 2010年08月30日 19:20
めぐさんへ

そう言えばめぐさんも同じもの食べていましたね。
もっともっと驚くような料理が出てくると思っていたんですけどね。
全然要望に応じてくれていませんよね。
Posted by 1031 at 2010年08月30日 19:21
めめちゃんさんへ

評判だけなのかもしれませんね。
寿司に関してですが、単に覚えていないだけです(笑)
変なお店はあまり記憶に無いことがありますが、いい店でも忘れていることがあります。
Posted by 1031 at 2010年08月30日 19:24
あいままさんへ

そうですね。値段に見合った満足度って重要ですよね。
このお店はすごく悪いと言うことはありませんが、特別感が無いので、満足はできませんでした。
Posted by 1031 at 2010年08月30日 19:25
杉さんさんへ

僕にとってはイマイチでしたね。
杉さんさんの知り合いの方も行かれているのですね。
僕もフラスカティは一度行っただけですが、すごく好きです。
山猫軒はいろいろと特殊なお店ですが、素材が生きた料理だし、悪くは無いと思います。
Posted by 1031 at 2010年08月30日 19:28
グローブさんへ

僕も今回の旅でこのお店のために行程を変更しました。
でも想像以上にダメでした。素材を考えればいい料理が出てきても良い土地だとは思うんですけどね。やっぱり都市に比べて競争相手がいないと言うことが大きな原因かもしれません。
おっしゃるとおり、なめてんのかと思いました^^;
言葉は悪いですが、子供騙しとしか思えない料理でした。
ダ・サスィーノとアルフィーオレも行きたいリストに入っているのですが、もうやめようかな(笑)
Posted by 1031 at 2010年08月30日 19:31
こんばんわ。

すごく興味のあったお店でしたが、散々な評価ですね。
…たしかに、もっともな評価な気も…。

地産地消にこだわったお店ということで大変に興味がありましたが、評価を拝見してますと、技術的に、基礎的なものが何か足りない感がします。

言葉に酔った系なのかなあ、落合さんも足を訪れていていい評価を受けていたようでしたが、あの方にはどんな感じに映られたのでしょうか…。

素材の味をいかしたシンプルなものをシンプルに出すのがイタリアンの真髄なので、結構込み入ったことをし過ぎている感じがしますね。

素朴な感じで素朴なものを出してほしかったなあ…って感じです。

参考になりました。ありがとうございました。

POLOMOKO(名古屋グルメ日記http://nagoyagurumen.jugem.jp
Posted by polomoko at 2010年08月30日 20:39
polomokoさんへ

僕も期待していたのですが、残念でした。
こだわりがあるのは分かるのですが、それが味には反映されていませんでしたね。
落合さんはこのお店本当においしいと思ったのかな?笑
Posted by 1031 at 2010年09月01日 19:34
初めまして。地元に住んでいる観光関連の人間です。

アルケッチャーノは,鳥が住んでいない島に住んでいる蝙蝠です。
地元の人達は鳥を見たことがないので,空を飛ぶ蝙蝠を鳥だと思っているだけです。

サービスは最低ですし,イタリア料理人としてのレベルも2線級です。

あの人が認められるのは,いち早く優れた庄内の素材を使い始め,それを前面に押し出したこと,それにあのキャラクターだけでしょう。

わざわざ遠くから足を運ぶ価値は,皆無だと思います。
こんな店を,山形のメインに据えている自分達が悲しいです。

そして,残念な思いをさせてしまい,済みませんでした。
Posted by langsyne at 2011年01月15日 11:04
langsyneさんへ

はじめまして!
観光関連の方なのですね。
なるほど、やはり競争が激しくないところではそうなってしまうのかもしれませんね。
記事にも書きましたが、僕もサービス、料理ともにかなり難ありだと感じましたし、もてはやされる意味が分かりませんでした。
とは言え、残念ではありましたが僕もどうしても一度行ってみたかったお店なので、後悔はしていません。自分の目で、舌で確かめられて良かったと思います。
これからも地方の味を求めに行きたいと思います。
コメントありがとうございました!
Posted by 1031 at 2011年01月15日 18:40
こんにちは。
しばらく前の記事ですが、検索していたら発見したのでコメントいたします。
私は山形県民ですが、残念ながらアル・ケッチャーノを美味しいという人に会ったことがないです。
昔1200円程度でランチを出していた頃なら「まぁ普通」程度の評価でしたが、パスタは昔から茹で過ぎでしたし、その他はごく普通の料理でした。
最後に行ってから5年程経つので、最近の動向は不明ですが、過去2度行って「あとは行くことはないだろうな〜」と思いました。
10年以上前から評判だけはすごかったので、1度目で「この程度?今日は外れ?」と思い2度行ってみたんですが、やっぱりダメでした。
私は山形市在住ですが、庄内地方だからあれでやっていけるのかね〜(お店が少ないから競争も少ない?)、と家人と話しております。
山形市内には創作イタリアン系がないので比較できませんが、スタンダードなイタリアンや創作フレンチなら県内の他のお店の方が数段レベルは上だと思います。
高評価は、宣伝の上手さの賜物かな?
奥田シェフは東京の料理店で味見係だったというのがウリのようですが、創作という点では凡人程度という気がします。
庄内地方の人に聞いても、「イタリアンなら穂波街道(奥田シェフが独立前にシェフをしていたという店)の方が美味しい」という人が多いです。
(あちらはナポリピザがメインの素朴なお店なので比較はし辛いですが…。)
庄内なら、平田牧場のお店で1200円程度のランチでも食べたほうが満足度は高いかもしれません。
これに懲りずに、県内の他の隠れ家レストランも訪ねてみてくださいね!
Posted by sakura24 at 2012年08月19日 13:29
sakura24さんへ

コメントありがとうございます!
やはりそんなに評判は良くないのでしょうかね。
僕は記事にも書いたとおり、相当の過大評価店だと感じました。
おっしゃるように、宣伝のうまさだけで集客しているような気がします。
地元の方より遠方の旅行客の方がこのお店を絶賛していたりしますし。
そして色々な情報ありがとうございます!
山形、そして東北地方は大好きなのでまた必ず行くと思います!
ぜひ参考にさせていただきますね^^
Posted by 1031 at 2012年08月19日 15:36
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