2012年09月27日

なぜマヨネーズは常温で保存できるのか 〜腐敗への考察 その2〜


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スーパーでマヨネーズが売っているのを見たことが無い人はいないでしょう。
そのマヨネーズは一体どこに売られていましたか?
おそらくはほぼ間違いなく常温で陳列されているはずです。
稀に冷蔵のケースに入れられている場合があるかもしれませんが、大手メーカーの商品は基本的に常温で置いてあるはずです。
マヨネーズを作ったことがある人なら分かっているとは思いますが、マヨネーズは生の卵を使っていて、加熱処理をしていません。
にもかかわらず、常温保存で半年から1年の賞味期限が設定されている(一般的な大手メーカー製品の場合)のはなぜだろうか。

これを知るには、まず「腐る」とはどういうことかを知って欲しいのだが、そのことに関しては以前記事にまとめたのでこちらも参考にして欲しい。

以前の記事にも書いたとおり、腐る(腐敗)と言うのは「何らかの形で空気中などに存在する細菌や酵母などが食品に付着し、その微生物が生命活動を行うために消費されたタンパク質、有機酸などが分解され、臭気等を有する物質を産生する過程」である。


では、マヨネーズの場合はどのようにして腐敗を防ぎ、保存性を高めているのだろうか。
断っておくが、もちろん保存料などが入っているわけではない(場合によっては入っている商品もあるかもしれないが、保存性が高い主な理由はこれではない)

そのためにはまずマヨネーズが一体どんなものから、どのようにして出来ているかを知る必要がある。
マヨネーズは卵黄に塩、こしょう、酢を合わせ、そこに油を混ぜながら乳化させて作る。
この乳化が重要なポイントで、マヨネーズの場合、水(この場合は酢)に油滴が安定に混ざり合って作られたエマルションである。
この安定なエマルションを作るための手助けとなるのが乳化剤の役割をしている卵黄中のレシチンである。
レシチンは両親媒性を有しているため、簡単に言うと、普通なら混ざり合わない水と油を混ぜることができる。
こちらで比較的簡単に分かりやすく説明されているので、あわせてご覧頂きたい。
ちなみに、両親媒性のある物質として、洗剤などに含まれる界面活性剤なども挙げられる。
洗剤の場合も同様に、含まれる界面活性剤が油(油汚れ)を水の中に取り込み、安定なミセルを形成することによって汚れを簡単に落とすことが出きるということ。

さて、マヨネーズの場合、卵黄によって酢の中に大量の油を安定に存在させることを可能にしているということになる。
この乳化によって油滴は酢の中で安定なミセルを形成するため、酸化から守られやすくなる。
これがまずマヨネーズが腐敗しにくい理由の一つ。
そしてもう一つ大きな要素があります。


それはの使用。
酢を使用することにより、食品のpH(ピーエイチ:水素イオン濃度)を下げ、これにより大半の菌類が生存しにくい状態を作っている。
pHを下げる、つまり酸性に近づけられれば、それだけ生存できる菌が減ることになり、腐敗の要因を大きく減らすことができるわけです。
余談ですが、pHをペーハーと呼ぶのはやや古い言い方です(笑)
近年では学会などでもピーエイチで統一されています。

このようにしてマヨネーズは安定な状態を維持しているため、常温でも保存性が非常に高いのである。
ただし、この「乳化」の状態は温度が下がりすぎると安定な状態を保てず、分離してしまう。
そうなると保存性は一気に下がってしまうので注意が必要。


さて、話は少し変わるが、pHを下げることによって保存性を高めている食品の中でも代表的なものに、漬物がある。
以前の記事にも書いたが、漬物は塩を添加することにより、水分活性を下げると同時に乳酸菌の力によって発酵もしている。
この発酵も食品の保存性を語る上では非常に重要であり、漬物などにおける乳酸菌の正常な生育により、乳酸が産生される。
この乳酸はもちろん酸性の物質であり、乳酸の産生により食品自体のpHが下がり、他の雑菌の生育が抑えられるのだ。
本当の漬物と言うのは大量の塩による脱水→水分活性の低下による腐敗の防止&発酵による保存性の上昇。
という素晴らしい自然の力があってこその保存食なのである。

そこでちょっと思い出して欲しい。
ちょっと前に野菜の浅漬けで起こった食中毒事件。
浅漬けというのは乳酸発酵による漬物とは実際似ても似つかない食べ物。
あんなものその日にさっと作ってその場で食うようなもので、商品として何日も保存させるようなものではないのです。と言うか塩も弱いし発酵もさせていないし、普通は保存が効きません。
それを長期保存させようと思えば、何かしらの添加物は必要になるし、万が一雑菌が混入した時には雑菌が繁殖しやすいのは当然のこと。
浅漬けに限らず、最近では塩分控えめの漬物が好まれている。
あんなもん漬物とは呼びたくないし、同じ土俵に上げて語りたくない食べ物。
漬物と言うのは本来保存食である。
保存食たるもの、かなりの量の塩は必要なのである。その塩の力や乳酸発酵により保存性が高まっているからこそ漬物は保存が出来るわけだ。
必要なものまで控えていいものなど作られるわけが無い。
現代まで培ってきた素晴らしい知恵を、バカの一つ覚えみたいな減塩ブームで消してはいけない。
食べ物は風土と共にあるのだから。
話がいろんな所に飛び火してしまった(笑)
今回はこれくらいにしておこう。

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posted by 1031 at 02:24| Comment(4) | TrackBack(0) | 栄養学など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月22日

徳山鮓(とくやまずし) その5


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大好きな徳山鮓へ!
今回は初の宿泊です。





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少し時間があったので余呉湖畔で乾杯!







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で、宴の始まりです。
今回はビールで乾杯の後は、持ち込みのアルコール類を頂きました。






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鯖の熟れ寿司
定番ですね。心地よい酸味、旨み。
熱燗と良く合います。






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琵琶鱒
こちらも洗練された味付け。
うまいです。





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うなぎの落とし
さっぱりとしていながら十分な旨み。





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丹生川の鮎(手前)と琵琶湖の鮎(奥)
食べ比べ。
これまた熱燗が進む。





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余呉湖のうなぎ蒲焼
これも定番。
かなり大ぶりで皮も厚め。
しかし、皮をしっかりと焼くことでパリッと仕上がっており、食感の悪さなどは一切無い。
うまかったです。








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うなぎの肝煮こごり
うまい!





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稚鮎の天ぷら
ここの天ぷらは本当においしい。
酸化臭は無いし、さっくりと仕上がり、非常に上質。
下手な天ぷら屋なんて比べ物にならないくらい。






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稚鮎 山椒味噌
下手に甘すぎない味噌がいい感じ。






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鮒寿司と鮒寿司の天ぷら
奇をてらっていない、本当においしいと思える料理。
熱燗との相性は最高。






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うなぎの八幡巻
上質で洗練されたあん。
山椒がまたいい仕事してます。






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すっぽん!







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熊雑炊!




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鮒寿司の飯のアイス!





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で、結局深夜まで飲み続けたのでした・・・
途中で眠る人が続出(笑)







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そして翌日の朝食。
野暮ったさの無い理想的な食事。




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ご飯がとっても進む!!







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コーヒーを頂いて、まったりして・・・
ゆっくりと徳山鮓を後にするのでした。



今回も楽しい楽しい旅でした。
ここの料理は行く人を選ぶとは思いますが、興味のある人、そしてこういう料理が好きな人にはたまらないと思います。
巷では「似非発酵食品ブーム」が蔓延っていますが、発酵食品というのは本来そういうものじゃない。
流行り廃れで味わうもんじゃない。
ここの料理はそんなことを一切抜きにして味わいって欲しいもの。
おいしい酒とおいしい料理。本当に幸せになれる瞬間です。
ごちそうさまでした!

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徳山鮓その1の記事はこちら
徳山鮓その2の記事はこちら
徳山鮓その3の記事はこちら
徳山鮓その4の記事はこちら
徳山鮓その5の記事はこちら

滋賀県伊香郡余呉町川並1408
0749-86-4045
営業時間 12:00〜14:30 18:00〜21:00
不定
posted by 1031 at 13:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 和食など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月07日

【募集】パンをシェアする会 その6 〜SSパン編vol.2〜【募集】


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お待たせいたしました!
昨年企画して、大盛況に終わったSS(シニフィアン・シニフィエ)のパンとワインを愉しむ会を今年も開催します!




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<内容>
今回はパンをシェアする会 その6の企画といたしまして昨年に引き続き、「シニフィアン・シニフィエのパンとワインを愉しむ会vol.2」をいとまゆさんと共に開催させていただきます。

ちなみに、
→パンをシェアする会その1の記事はこちら(バゲットの食べ比べ編)
→パンをシェアする会その2の記事はこちら(いとまゆパン編)
→パンをシェアする会その3の記事はこちら(ラトリエ・ドゥ・プレジール編)
→パンをシェアする会その4の記事はこちら(食パンの食べ比べ編)
→パンをシェアする会その5の記事はこちら(SSのパンとワインを愉しむ会vol.1)



一応説明させていただくと、東京都の世田谷区にお店を構えるシニフィアン・シニフィエ(Signifiant Signifie:以下SS)と言えばパン好きの間では知らない人はいないくらい有名なお店。僕もお気に入りです。
そのオーナーである志賀勝栄シェフの作る独創的かつ高品質で洗練されたパンは常に絶賛され続けてきました。

今回の会ではSSの定番商品に加え、季節限定パン、本会オリジナルパン、そしてなんと!
通常この時期に作っていない、シュトーレンも特別に作っていただけることになりました!!
先回同様、今回も10種類程度のパンを用意させていただく予定です。


また志賀シェフのパンはワインとの相性も考えて作られています。
今回の会では厳選されたワインも3種類用意する予定です。
こちらもぜひお楽しみ下さい。



<日時>
2012年10月23日(火) 19:00〜21:00(受付18:30〜)



<場所>
【ダイニンググラマー】
愛知県名古屋市中村区名駅2-41-1 MKビル3F
(名古屋駅1番出口から徒歩5分)
※駐車場はありませんので、公共交通機関を使っていただくか、車の方は近くのコインパーキングをご利用下さい。



<募集人数>
50人



<参加費用>
ソフトドリンク(おかわり自由)付き:8000円
ワイン付き(シャンパン、白、赤の計3杯):10000円

※なお、今回は参加費用を事前の銀行振り込みとさせていただきますので、応募は必ず本名でお願いいたします。
参加が決定した時点で、別途振込口座等のメールを送らせていただきます。

※キャンセルされる場合、1週間前までであればキャンセル料は発生しませんが、振込み手数料のみご負担いただくことになります。
6日前からはキャンセルできません。この場合キャンセル料を全額支払っていただくことになります。
ただし、代理の方を立てていただくことは可能です。
(この場合であってもキャンセル待ちの方が繰り上がった場合には代金を返金いたします。)



<応募方法>
メールの件名に必ず「参加希望」と記入し、
本文に
・「氏名(必ず本名)」
・「連絡先の電話番号」
・ワインかソフトドリンクどちらを希望するか記入。
・「ブログorホームページのアドレス(ある方のみ)」
・「その他、質問、メッセージなどなんでも」

以上を記入の上、

tabe-aruki※hotmail.co.jp(※を@に変えて下さい)に送信してください。

もちろんブロガー、読者の方、誰でも参加可能ですが、1人で2人分以上の応募は出来ません。
必ず、1人が1通のメールを送るようにしてください。


<募集期間>
今から9月15日(土)23:59まで。

※万が一応募多数の場合は16日以降に厳選なる抽選を実施し、9月21日(金)までには結果をお知らせする形を取りたいと思います。


<注意事項>
パンの保存状態などは万全を期すつもりですが、その日にお店で買ってすぐに食べるものとは異なります。
また、今回は我々の個人的な考えで選んだパンであるため、出てきたパンが嗜好に全く合わないということも考えられます。
以上の点も理解していただいた上で応募していただければと思います。

SSのパンが大好きな人はもちろん、SSのパンを食べたことの無い人も素晴らしさを知るためにぜひこの機会にご応募くださいませ!
みんなでおいしいパンを楽しみましょう!

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posted by 1031 at 21:00| Comment(2) | TrackBack(0) | お知らせなど | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする