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近年、食べ物の表記で「天然」であることをアピールしてある物が増えてきているように感じる。
魚介類に代表されるように、「天然」と「養殖」が存在するものも多々ある。
魚介類などでは養殖の技術が進んで、天然と大差無いなどと言われている。
しかし、やっぱり味は天然に遠く及ばないと個人的には思っている。
もちろん、それは天然が良い、養殖が悪いと言う意味ではない。
養殖によって年中安定した価格で魚が手に入るようになったと言うのはメリットの一つではあると思う。
まぁ個人的にはそういうメリットは自然の摂理に反するので、別にありがたがるものではないと考えるが。
そう言った意味での天然、養殖の是非は語りつくされている感があるので、あえてここでは記事にしない。
さて、今回はそれとはちょっと違った観点で「天然に存在するもの」の意味すること、そしてその「危険性」を考えていきたいと思う。
今回は主に食品に含まれる原材料、添加物について。
原材料表示についてはこちらで述べているが、その原材料表示でいくつか疑問に思うことがある。
代表的なものにスポットをあてて紹介していきましょう。
@ぶどう糖果糖液糖(果糖ぶどう糖液糖)
まずはこれ。よほど気をつけていない限り、これを口にしたことの無い人はほぼ皆無だと思う。
その製造工程は、イモ類などのデンプンを原料とし、そのデンプンに糖化酵素や異性化酵素を用いて連続的にぶどう糖と果糖を精製するというもの。
ぶどう糖の方が多く含まれる場合は「ぶどう糖果糖液糖」、果糖の方が多く含まれる場合は「果糖ぶどう糖液糖」となる。
安価に大量生産できるため、ここ数十年の間に爆発的に生産量が増えてきている。
主に清涼飲料水に使用されているので、機会があればぜひ原材料表示を見て欲しい。
しかも、ぶどう糖も果糖も天然に存在する糖であるため、よほど敏感でない限りこれを砂糖の代わりに使用して何かを作ったとしてもほとんど違和感の無い味になる。
では一体何がいけないのか。
ぶどう糖は天然に存在するとは言え、果物などに少量含まれる程度。
もちろん、ごはんをはじめとした穀物に多く含まれる炭水化物も、分解されれば最終的にぶどう糖となって吸収される。
しかし、このように精製された単体のぶどう糖が大量に人間の体に入ってきた"歴史"は今までに無い。
ぶどう糖の過剰摂取は当然ながら急激な血糖値の上昇を招く。
それに伴い、血中の中性脂肪の上昇やひいては糖尿病、種々の生活習慣病にもつながる可能性もある。
人類の何万年という歴史の中でこれだけ精製されたぶどう糖が体に入って来たことなど無いのです。
これがどれだけ異常なことであるか認識しなければいけないと思う。
近年の生活習慣病の増加はこれだけが原因ではないにしろ、一因になっている可能性が無いとは言い切れないと思う。
「天然に存在する」からと言って、すなわちそれで危険性が無いということには全くつながらない。
Aグルタミン酸ナトリウム
次はこれ。
食品の原材料表示に記される、いわゆる「アミノ酸等」の一つ。
これに関してはある宣伝文句に非常に違和感を覚える。
某化学調味料メーカーの「サトウキビを原料に作られています」というもの。
これには怒りを通り越して企業努力というか、いかに消費者を騙すかという狡猾な考えが見え隠れし、感心すら覚えます。
余談ですが、僕は化学調味料をうまみ調味料と呼ぶことに非常に違和感を感じますし、大嫌いです。
僕は絶対にうまみ調味料などという呼び方はしません。
あれは化学調味料以外の何者でもありません。
さて、では化学調味料はどのように作られているのでしょうか。
まず述べておきたいが、化学調味料は間違っても「サトウキビを搾ってできたもの」ではありません。
実際は人工的に変異を起こして作られたグルタミン酸の産生能がある細菌を、サトウキビから抽出した糖分(エサ)や種々のビタミン、無機質、薬品が含まれる培養液の中での発酵によりグルタミン酸が作られると言うもの。
つまり、細菌がエサとしてサトウキビの糖分を利用し、副産物としてできた物がグルタミン酸なのである。
これを「サトウキビを原料に〜」と言い、天然だとアピールするのはいくらなんでも詭弁ではないか?
逆に、添加物を加えることが100%悪いとは言い切れないと思う。
その代表がハム、ソーセージ類に含まれる「亜硝酸塩」、いわゆる発色剤です。
亜硝酸塩は肉の色素(ミオグロビン)と結合し、鮮やかな発色を保つ効果があります。
通常、肉類の色素は加熱により褐色(メトミオグロモーゲン)に変化する。
しかし、亜硝酸を加えることにより肉の色素は非常に安定な形(ニトロソミオグロビン)となり、加熱を経ても鮮やかな赤色を呈する(ニトロソミオグロモーゲン)。
ま、これをキレイと見るか毒々しいピンクと見るか意見は分かれるところではあると思いますが。
さて、亜硝酸塩はこれ以外にもう一つ重要な役割を果たしているのです。
実はこちらの方が大切な気がする。
それはボツリヌス菌の繁殖抑制作用なのです。
ボツリヌス菌は、クロストリジウム属の偏性嫌気性細菌です。
嫌気性、つまり酸素の無い(少ない)環境こそがボツリヌス菌の最も好む環境なのです。
ハムとかソーセージ類では昔からボツリヌス菌による食中毒が多かったらしい。
それが亜硝酸塩の添加により劇的に減少したということは、やはり賞賛されるべきことかもしれません。
亜硝酸塩が添加物だからといって絶対に悪だと言う人がいるのであれば、ほうれん草をはじめとした葉物類は一切食べられなくなります。
だって、ハムとかソーセージの何倍も亜硝酸が入っているんですから。
つまり天然、人工などといったことが重要なわけではないのです。
はじめにも述べたとおり「天然に存在する」からと言って、それが人体に全く影響の無い物である保証はどこにもない。むしろたとえ天然に存在するとしても、精製された物を大量に摂取することは人体に何かしら悪影響があると思って差支えが無いはずである。
繰り返しますが、ぶどう糖をはじめ、人類の"歴史"の中でこれほど精製された食品が体の中に入ってきたことはないのです。
これだけに限らず、われわれ消費者は有機、無農薬、無添加などという言葉だけに惑わされ、食品本来のあるべき姿を見失い過ぎないようにしなければいけないと思う。
以前どこかで、「有機ぶどう糖」なるものを見かけたが、これも完全に本末転倒のような気がしてならない。
そこを有機にするくらいなら真っ当な砂糖は他にもあるだろう・・・という何とも言えないモヤモヤした気持ちになったのを思い出した。
だからこそ、「天然」という言葉はある意味詭弁にもなり得るということを理解して欲しい。
食べ物の本来あるべき姿を見直しましょう。
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